コメントする

『絶対に後回しにしてはいけない!知的財産権の話』#12

こんにちは、弁理士の服部耕市です。
いよいよ最終回の今回は、「意匠権」についてお話ししたいと思います。

(1)意匠
「意匠」を保護するのが「意匠権」です。
「意匠」って何かご存知でしょうか。

馴染みのある言葉を使って分かり易く言うと、
「意匠」とは「物品のデザイン」のことです。

例えば、
・携帯電話(物品)の未来的なデザイン、
・靴(物品)のオシャレなデザイン、
・ボールペン(物品)の握りやすいデザイン、
等です。

ここで、「意匠」について、誤解が多いと感じていることを、2つ。

① 物品性
「意匠」は「物品のデザイン」ですから、物品という概念を切り離せません。
例えば、可愛いキャラクターを創作しても、そのキャラクター自体を
意匠権で保護することはできません。
物品と結びつかなければ「意匠」に該当しないからです。
ただし、コップにそのキャラクターがデザインされている場合は、
コップ(物品)のデザインとして意匠権で保護可能です。

② オシャレさは必要ありません
普通、「デザイン」というと、オシャレで格好良いものを連想しますね。
そのため、オシャレで格好良くなければ、意匠権を取れないように
誤解されることもあるようです。
しかし、そんなことはありません。
オシャレか否かは意匠登録の要件になっていませんし、
そもそも、そんな趣味性の高い曖昧な判断を特許庁審査官が
一定の基準に従ってするのムリですよね。
ご自分でハードルを上げて、勝手にダメと決めつけないようにして下さい。

(2)意匠権取得までの流れ
意匠権を取るためには、特許庁に対して意匠登録出願をする必要があります。

その手続きは、以下の順番で進みます。
① 意匠登録出願
② 審査
③ 審査結果に対する対応

これらのうち、①と③は出願人が行う手続きです。
また、②と③は、審査官が意匠登録すべきと判断した場合と、
意匠登録すべきでないと判断した場合とで内容が異なります。

①  意匠登録出願
意匠登録出願では、保護を求める「意匠」をその「物品面」と
「デザイン面」の両面から特定する必要があります。
「物品面」からの特定は、願書に物品名を記載することで行います。
「デザイン面」からの特定は、図面や写真等を使用して行います。

1件の出願に含めることができる意匠の数は、1つです。
1つの意匠毎に出願を行う必要があります。

② 審査
特許庁の審査官が審査を行います。
審査では、法律で定められた登録要件(意匠法第3条、第5条等)を
満たしているか否か判断されます。
例えば、出願された意匠が工業的に量産できないものの場合には、
意匠登録を受けることはできません(意匠法第3条第1項柱書)。

審査官の最終的な判断結果は、「査定」というかたちで為されます。
「査定」には、(i)登録査定と(ii)拒絶査定の2種類あります。
これは、商標権や特許権の場合と同じです。

(i) 登録査定
出願が登録要件を全て満たしていれば、審査官は意匠登録をすべき旨の
査定をします。
おめでとうございます!

(ii) 拒絶査定
一方、出願が登録要件を満たしていない場合には、まず最初にその理由が
通知され(拒絶理由通知)、意見書や補正書を提出する機会が与えられます。
つまり、いきなりダメと結論づけられるのではなく、
その前に反論する機会が確保されています。

拒絶理由通知を受け取った出願人は、意見書を提出して、
審査官の判断に対して反論することができます。
また、補正書を提出して記載を訂正することも可能です。

特許庁審査官は、提出された意見書や補正書を読み、再度審査を行います。
そして、拒絶理由が解消された場合には、(i)登録査定を行います。
一方、拒絶理由が解消されていない場合には、(ii)拒絶査定を行います。

なお、拒絶理由通知が複数回行われる場合もあります。

②  審査結果に対する対応
上記②で(i)登録査定の場合には、特許庁に登録料を支払うことで、
特許庁の登録原簿に登録され(設定登録)、意匠権が発生します。

一方、上記②で(ii)拒絶査定の場合には、次の(a)と(b)の2つの選択肢があります。

(a) 諦めない
審査官の判断に納得できない場合には、拒絶査定不服審判を請求して争うことができます。
審査官は1人で審査を行っていました。
拒絶査定不服審判では、3人又は5人の審判官の合議体が審理を行います。
判断の主体が変わりますので、審査官とは異なる判断結果が出る可能性もあり、登録を勝ち取ることも可能です。
ただし、拒絶査定不服審判を請求するには、審判請求料を支払う必要があります。

(b) 諦める
審査官の判断に承服する場合、以降の手続きを行わないことで、
その後の費用発生を防ぐことができます。

(3)意匠権の存続期間
意匠権は、設定登録の日から20年間存続することができます。
ここで、「設定登録」とは、上記(2)③の設定登録です。
設定登録により意匠権が発生しますので、別の言い方をすると、
意匠権の発生した日から20年です。

なお、特許権の場合は、「出願の日」から20年でした。
この「出願の日」から20年には、審査請求前の期間や特許庁審査官による
審査期間も含まれます。これらの期間が長引き、特許権の発生が遅れれば、
その分だけ特許権が発生している期間は短くなります。

これに対し、意匠権の場合は「設定登録の日」から20年間ですので、
審査期間の長短には影響されません。

(4)意匠の調査
日本の特許庁のホームページには、「特許電子図書館(IPDL)」という
データベースがあり、誰でも無料で使用することができます。
IPDLについては、連載の第5回:商標調査、第10回:特許調査でも
紹介いたしました。
今回は、具体的な使用方法についてはお話しいたしませんが、
IPDLは意匠調査も行うことができます。
機会がありましたら、ぜひ、利用して下さい。

最後に、知的財産権について大切なことを1つ。

困ったときには、手遅れになる前に、お近くの弁理士にご相談下さい。
知財関係の手続には、期限が決められているものが多々あります。
期限経過後は、手続が出来なくなります。
手遅れになる前に、行動しましょう!

日本弁理士会では無料相談を行っていますので、
まずはこちらの利用もオススメです。

皆様、1年間、お付き合いいただきまして、どうもありがとうございました。
少しでも皆様のお役に立てば嬉しいです。

また、今回の連載を踏まえると共に更に新情報を追加した
知財セミナーを企画しております
(アタッカーズ・ビジネススクール主催、日程未定)。

詳細がきまりましたら、アタッカーズ・ビジネススクール事務局から
お知らせすることになると思いますので、こちらにもぜひ
ご参加いただければ幸いです。

その際、みなさまにお会いできることを楽しみにしています。
どうもありがとうございました。

                                     服部 耕市

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。